ビター・オア・ミルキー



ボロボロに泣いて、メイクも汗と涙で落ち切っちゃいそうになった時。


「…あれっ、俺もしかしてお邪魔だった?」


教室のドアが突然開いて、そこには高橋くんが立っていた。


「…あ、ごめんなさい、わたし…、帰るね!」


やばい、これ以上2人の邪魔をするわけにはいかないよ。



「あ、待って君花ちゃん」



ガタガタと机の中身をかばんに入れて、帰る準備を始めた時、高橋くんに声をかけられた。


「…え?」

「ごめん、あのさ…」


アニカも、よく分かっていない状況に、一瞬沈黙が流れる。

高橋くんは、言っていいものかどうなのか確認しているようで、目が泳いでいた。

だけど、何かを決心したようにわたしを見て、スゥ、と息を吸い込んだ。



「あの…!飛呂がめちゃくちゃ凹んでるから、どうか良い返事をしてやってくんないかな…!」

「…え…」

「ちょっと高橋?!あんたバカなの?!やめてよそんな君花を混乱させるようなこと…」


「分かってる!」

「…!」


しん…と、音が消えていく教室。

高橋くんは、きっと飛呂くんからすべてを聞いていたのだろう。


「…勝手なのは分かってる。けど、あいつは本当に君花ちゃんが好きだよ」


分かってると思うけど…

高橋くんは、そのまま消えそうな声で付け足した。

少しだけ、言わなきゃよかったと思っているのか、顔が曇ってきている。


…でも、そっか。

あんなことがあったのに、飛呂くんはわたしのことを考えてくれてるんだ…。