「でもね、君花」
「…っ!」
アニカは、涙が止まらないわたしを、優しいまっすぐな目で見つめてくれた。
肩に触れている手は、やさしいまま。
「…雨宮くんも、加野くんもね、君花のことがだいすきなんだよ」
「…うん」
「でも、君花は1人しかいない。いずれは、君花がどっちかを選ばなきゃいけないの。それは絶対。変わらないの。分かる…?」
「…っ、うん…」
分かる、分かるよアニカ。
3人で一緒になんて、無理。わたしが好きになる人は絶対に1人だけだから。
「いくら寂しくても、つらくても、君花は考えなきゃいけないの。2人とも大好きって、子どもの答えじゃだめな時もあるよね」
「…ん、」
「だってわたしたち、大人にならなきゃいけないんだもん」
「…うん…!」
朔ちゃんも、飛呂くんも、素敵な人だ。
わたしばかりが、独り占めしていいはずもない。2人のことを好きな人だって、たくさんいるはずなのだから。
わたしが、縛っていいはずがないんだ。
「…でも、わたし今…頭ぐちゃぐちゃで…」
「…うん、そうだね」
それも分かるよ、と、アニカはまた肩を優しく撫でてくれた。



