「高橋くんは、どこに行ったの?一緒に帰らないの?」
「あ、うん、なんか職員室に課題もらいに行ってるって。そのうち教室来るって言ってた」
「そっか」
なんだか、こっちまで幸せになってくるね。
この2人はこれから、友達から恋人にステップアップするんだ。
「わたし、アニカが幸せになってくれて、嬉しいなあ」
「…」
ずっと、そうやって笑っててほしいな。
目の前の人を、大切にしてほしい。
…そう、思うのは、今だからなのかな。
「……君花」
「…」
…飛呂くんから、少し距離を置いて数日が経った。
このことは、アニカにもなんとなく話したし、きっと高橋くんも知ってる。
教室では、あまり飛呂くんとは話さない。
メッセージも送らない。約束もしない。
…朔ちゃんと、ちゃんと話すまでは。
「…君花、ごめんわたし…こんな時にはしゃいじゃって…」
「え?!何言ってるの?!わたしのことは気にしないでよ!」
「…でも」
「だめ!むしろはしゃがないとだめだよ!今の気持ちは今だけのものなんだから!」
「…」
そうだよ。今感じているその気持ちは、今だけのものなんだから。
その時その時にちゃんと受け止めないと、もったいないよ。
「…君花、加野くんと話したの?」
「…」
…そう、ちゃんと、受け止めないと。