「すんません。すぐ行きます。君花、あとでな」 「あ…、うん。またね」 自分のクラスに帰っていく朔ちゃんを見送りながら、静かに席に着く男の子を見た。 …この黒髪。奥二重の目。この長身。 そして何より、この黒のスポーツバック…。 わたしが間違えてなければ、きっとこの間わたしがぶつかった男の子だ。 同じ学年だったんだ…。そうだったんだ…。 なんとなく後ろを見れない。 本を取り出して何かを読んでいることは、右隣にあったガラス窓に映った様子から確認できた。