ビター・オア・ミルキー




「………っ、お前…」


「ーーー…」


教室を後にしようとすると、ふいに誰かの声がした。

低い、響く乾いた声だ。


誰もいないと思っていたから、情けなく飛び起きた肩に手を置いて、静かに振り返る。



「…………っ!」



…俺よりも数センチ高い身長。黒髪。切れ長の目。スポーツバッグ。

…すべて、俺と真逆。


「…はは、なんだ、まだ残ってたの?」


そして、俺が唯一、嫉妬した男。



「…ヒロくん」

「………」



…なんで、こんなとこにいるんだ。

もう、テストはとっくに終わったはずなのに。

なんで、今こいつに会うんだ。



「…って、めぇ…」



目の前の、獲物を奪われ怒りに満ちている虎のような凶暴そうな生き物は、今にも俺を食べてしまいそう。


「…てめぇ、きみかに何をした」


…意外だ。こんなことするのか、こいつ。



「…ちょっと、くるしいんだけど」


ギリギリ…と、絞められる首。
その力は、今までに受けてきたことないほど強くて、やはり、相当怒っているのだと実感する。