大学に行きたいなあとは思っていた。
就職するより、他にも学びたいことはたくさんあるし。それに、将来の夢だって…。
「あのなあ、加野。いくら成績が良くても、目標がないと失敗するぞ」
「はあ」
「就職か?進学か?」
…それはもう、決めてある。
「…進学です」
これは絶対だ。それを見据えて、今まで真面目に勉強を続けてきたのだから。
…でも、そうなると…
「進学か。なら、この辺りの大学じゃあダメだな。お前の頭でこの地元に戻るのは、もったいない」
「…」
…やっぱり。そういうと思った。
先生たちはきっと、県外の大学をすすめてくると、そう思っていた。
「何学部とか、うっすら頭に入れていたりするのか?」
「うーん…」
俺の、学びたいこと…。学びたいことというか、なりたいものは、昔から1つだ。
「…薬学部に、行きたいです」
これは、君花は知らないこと。
母さんにしか、話してこなかった。
「薬学部?!だったらお前、そんなにのんびりしてられないぞ?!」
「勉強はしてます」
「そおおおいう問題じゃない!」
薬学部の難関をなめんな!
そう言って、先生からは再び喝を入れられてしまった。
…当たり前か。
今まで出した進路調査にも、学部までは書いていなかったわけだし。
「だったら、尚更ここにいてもだな。隣に、薬学部の評価が高い国立の大学がある」
「はい、知ってます」
「お前、国立志望だったよな?」
「はい」
うちの母さんだけじゃ、私立なんてとてもいけない。
しかも薬学部は6年だし。
だから、やっぱり、ここに残るわけにはいかないんだ。



