ビター・オア・ミルキー



「じゃあ、フライパンの中にハンバーグとスープ作っておいたから。夕飯時になったら食べてね」

「…おー」


食事を終えて、しばらく経った頃。

母さんは適当にパクパクと煮卵と里芋の煮物を放り込むと、「おいしー!」と言いながら、パタパタと仕事に戻って行った。

救急病院で、看護師として働いている母。

次々と急患が運び込まれてくる仕事場で、ろくに休む暇もないだろうに。



「…今回は、さすがに気づかれたか」


いちいち帰ってくるなんて、相当心配かけてしまったかな。



少しだけ冷えてしまったご飯を、タッパーにつめる。

これで、夕食まで持つか。


…あぁ、それから、ばあちゃんにも電話しとかないと。


「…久しぶりに、行ってもいいな」


…色々、整理をつけたい。

でもまずは、学校に電話をしなければ。

そして、君花のことも、ちゃんと考えなければ。

あんなことをしといて、このままってわけないもいかないしな。


…でも、いいや今日は。


今日は、せめて休みたい。



ずっと、心に敷き詰めてきた気持ちを吐き出した。

それだけで、かなりの体力の消耗だ。


…これからは、降りかかってくる後悔と、彼女の言葉にこの身体はボロボロにされるだろう。

それは容易に想像がつく。



だから、今は少しだけ。

少しだけ、休む時間が欲しかった。