ビター・オア・ミルキー



「本当に、見事にクラス離れんな」


メガネをはずしながら、目頭を押さえる朔ちゃん。
特に残念そうにするわけでもなく、声のテンションも変わらない。


「ほんとだよね。まぁ、近くのクラスだし」

「まーな」


再びメガネをかけてニコッと笑う。それに合わせてわたしも笑った。


「あ、そうだ君花。今日俺さ、放課後…」

「…そこ、俺の席なんだけど。良い?」

「………あ」


朔ちゃんが何か言いかけたその時。

朔ちゃんの後ろには、新しいクラスメートが立っていた。

わたしの後ろの席。
4月なのにストールを捲いている。


…て、いうか、この人どっかで…。