ビター・オア・ミルキー



ーーー気がついたら、担任から電話がかかっていた。


「…あぁ、そっか、今日テスト…」


もういいや。今から行っても遅刻だし。

夏休みに補習行けば、単位は大丈夫なわけだし。


「……はぁ」


昨日は、あれからまったく眠れなかった。
せっかくおばさんからもらった煮物も、箸をつけずに冷蔵庫に眠らせたまま。


…母さんは、もうこの時間は仕事か…。


重い体をむくりと起きあげて、そのままリビングに向かう。
階段に降りる時、いつも小さい頃の写真を横目で見るけど、それも今日はできない。


ゴーン ゴーン…


12時を指す鐘が鳴った。



「…あれ、朔太朗、起きたの」

「…え」


リビングに降りると、ガサガサとキッチンで作業をしている見慣れた姿が。

…こんな時間に家の中で会うのは久しぶりだ。


「…母さん、何してんの」

「何って。あんたが具合悪いみたいだから、買い出し行って帰ってきたの。お昼休みだし」

「…具合悪いって……」


…べつに、今日はただのズル休みなんだけど…。

そう言おうと思ったけど、そんなこと言ったら怒られると思って口を閉じた。