ビター・オア・ミルキー




ーーーーやってしまった。


「…朔ちゃん………」


細くて白い首筋に付いた、欲望の塊を見て、心のそこから、泣きそうになる。

終わったな、これで。


“余裕ぶっこいてると、持ってかれちゃうよ?”


…ほんと、そうだよな。

今の俺は、欲しかったおもちゃが手に入らなくて、駄々をこねている子どもと同じだ。


…こんなに傷つけて、君花が俺のことなんか、見てくれるわけがないのに。

自業自得だな。


「…ザマーミロ……」


…ほんとに、ザマーミロだよ。



あの時の、君花の顔は忘れない。

ごめんね、と、悪くもないのに謝って去っていく彼女の顔は、忘れるわけがないんだ。


…今まで守ってきたものを、俺が、1番にこわしてしまった。
そんな自分がおそろしかった。


「…っ、」


でも、1番おそろしいのは、彼女の熱に一瞬でも触れて、それに幸せを感じていた、自分だ。


「…ばっかじゃねーの……」


甚だ呆れる。
こんなんじゃ、ただのケダモノだ。

理性を持ち合わせていない、動物と同じじゃないか。


「…ほんとごめん…きみか……………」


もう、すべて失くしてしまった。

自分が守ってきたもの。
あの笑顔。君花の、俺への想いも、ぜんぶ。