「朔ちゃん、お勉強してたの?」
…できるわけないだろ。連絡もなにもよこさないで。
また、ヒロといたのかよ。
…そんなこと、返すわけもなく。
振り返ると可愛い笑顔があったもんだから、俺も自然と笑顔になる。
でも。
「ずっと、飛呂くんといたの?」
「え?!」
…なぜ、こんなことを聞いたのか。
こんなことを聞いて、何になる。
自分が傷つくだけだろう。
「飛呂くんと、キスした?」
「朔ちゃ…」
「どうなの」
何度も何度も、問い詰める。
あいつに触れられたのか、真実を確かめるために。
…いつもあいつの前で見せてる、赤い顔を、2人きりの時に見せたのか。
そんなの見せたら、いくらあいつでも、何もしないわけがない。
雨も、降っていた。
まさか、触れられたんじゃないだろうか。
…うわ、もう、ほんと、自分に引く。
…けど、ヒロの話をしている時に赤い顔をするところとか、くちびるを意識してそれをなぞるところとか、そういうところが、無駄に、なんとなく、腹が立った。
…自分が、聞いたくせに。



