でも、今までもなんだかんだ、俺のことを1番に想っていたからと、浅はかな考えで、俺は彼女を応援するふりをした。
…当たり前だ。嫌われたくない。
「…朔ちゃん、あのね、」
「…!」
ある日、両想いになったと告げられた時は、地面が抜けてしまうんじゃないかと思った。
それに笑顔で返す自分を、本当に生きているのかと疑ったほど。
…でも、今まであいつに彼氏なんて何回もいたし、初めてではない。
俺と一緒にいるからと、何度もだめになってきた。
だから、きっと、今回もそうだと思った。
…ほんとうに、馬鹿だった。
“今日も、飛呂くんと帰るね”
そんな連絡が、ほぼ毎日入るようになって。
2人で帰ってくる姿を、何度も部屋や学校で目撃して。
その度に、心臓に亀裂が入るようで。
そうして痛めつけられた心臓は、実に弱々しくなっていった。
今回のテスト期間だってそうだった。
雨が降りそうだと思って、君花に連絡した。けど、いつもはすぐに返ってくる返信がないことに気づき、そのまま携帯を置いた。
数時間後に、メッセージが入っていたことに気づき、すぐに返信を返す。
「朔ちゃん」
持ってきたのは、俺の大好物だった。



