ビター・オア・ミルキー



「加野くん…っ、すき…」


だから、体なんてどうでもよかった。

ただ、君花とはいつかそうなりたいと思っていた。

だから、とことん、寄ってくる女は利用して。

抱いて、抱いて、傷つけて、抱いて。


君花だったらどうするだろう、どんな反応をするだろうと、ずっと考えていた。



「…かの、く…」

「…うるせぇよ。朔ちゃんって呼べ…」


…でも、そんな風に言われたって、呼ばれたって。


「…朔、ちゃん…っ」

「…」


……ちがうな。

あいつの、声とはちがう。
あいつの反応は、きっとそうじゃない。


「…もっと、して…っ」



…そんなこと、絶対に言わない。



「…きみか……、」



それでも、自身を動かせば迫り来る波に、目を閉じて素直に従った。


いつも、頭の中には、君花しかいなかった。




「加野くんてさぁ、いい加減君花ちゃんのことどうにかしようって思わないの?」


…なんでお前がそんなことを聞く。


「…どうにかって何を?」

「だって、好きなんでしょ。もう何回こんなことしたか分かんないのに、いつも最後はあの子の名前を呼ぶじゃない」


別にいいけど、テンション下がるよ〜、と、目の前の女は笑いながら付け足した。


…お前らに、俺の気持ちが分かってたまるか。