「朔ちゃん」
…それは、きっと。
「わたし、彼氏と別れた」
「なんで？」
「…だって、朔ちゃんと話すなって言うんだもん。そんなのできない」
「…」
それは、きっと、君花はどんな時も、俺を1番に考えてくれていたからだった。
どんな人といても、遊んでいても、付き合っていても、必ず俺のことを見ていてくれた。
デート中だってメールしてくれたし、そのことを赤裸々と俺に話す。
俺に隠し事をすることだってなかった。
だから、うぬぼれていたんだ。
妙に、自信があったんだ。
…君花は、俺じゃないとだめだと。
「朔ちゃん、だいすき」
そう笑う君花の心は、俺のものだと勝手に思っていた。
だから、ゆっくりでいい。
少しずつ、少しずつ俺の気持ちを伝えて、とことん優しくして、やっぱり朔ちゃんだねって最後に感じてくれればそれでよかった。
…君花のこころが、俺に1番強く向いていれば、それでよかった。
…俺も、それでよかったんだ。
