ビター・オア・ミルキー



「うん、大好きだよ」

「…よくもまぁ、そんなに恥ずかしげもなく言えるよね…」


やれやれ、と、髪をかき分けながら携帯を手に持った加奈子は、それから画面に吸い込まれて静かになった。

きっと、Twitterを開いているのだ。


「君花ー」


メール画面をじっと見つめていると、クラスの入り口には見慣れた姿。
わたしの方を見て、徐々に近づいてくる距離。


「朔ちゃんっ!!!」


ブレザーに、黒縁メガネをしている朔ちゃんは珍しい。
いつもカーディガンにコンタクト装備だから。


「朔ちゃん、メガネどうしたの?」

「ん?…や、コンタクトがきれちゃって。だからメガネ」

「あぁ。そういうことか」


…携帯のメールは見ていないのかな。
それでもわたしのクラスに飛んでくる朔ちゃん。

そんなこと、予想の範囲内だったよ。