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「アニカ!アニカ!おはよー!!」
「…あ、君花。おはよう」
―――4月。
新学期が始まって、わたしは3年目になる制服に腕を通した。
2年前に比べて明らかに柔らかくなった制服のブレザーは、年月の長さを教えてくれる。
三回目のクラス会は、靴箱の入り口に派手に貼られ、一発で親友のアニカと同じクラスになったことも明らかになった。
「アニカ!また一緒だね!よろしくね~」
「まーた君花のお世話係りか。あーあ」
わたしの隣でわざとらしいため息を漏らす女の子。
岸谷亜仁花(きしたに あにか)。
中学校から同じクラス。もはや運命だと思う。
「またまたー。わたしのこと大好きなくせに」
「はいはい。言ってなさい。教室行くよ」
綺麗な黒髪をポニーテールにしているアニカは、本当にそれが仔馬のしっぽのように揺らして歩く。
わたしの自慢の親友だ。



