そこには、イヤホンを耳に装備した長身の男。
肩からスポーツバックをかけている。
きっと、さっきはこれが当たったんだ…。
「……わりぃ」
「…」
暗くて、よく分からなかったけど。
携帯の光が反射して映ったその顔は、透き通るようにきれいな顔だった。
「……ケガは?」
イヤホンを外しながらわたしに向き合うその人は、切れ長の目の間にしわを寄せた顔。
…少し、こわかった。
「や…、別に、ちょっと当たっただけなので…。大丈夫です」
さっと目を逸らして。
やっぱりもう少し朔ちゃんのところにいるんだったと後悔。
そうすれば、こんな人と向き合うこともなかったのに。