わたしの憧れる恋愛というのは、少女漫画にあるようなベタベタな恋愛。

べつにお姫様になりたいのではなくて、少女漫画のお話になるようなことが起こったら、きっと心臓が止まらないほどドキドキするんじゃないかって思っている。



「…寒いなぁ…」


朔ちゃんの家を出て、暗くなった見慣れた道を丸くなって歩いた。

まだ春らしい温かい空気なんてほど遠い。3月なんてまだまだ冬だ。



ポケットに手を伸ばすと、すぐに見つかる携帯。
光に目を細めながらも、いつも使っているSNSを開いた。


「……」



――バシ…ッ……!


「痛ッ!!」


友達が更新したつぶやきを確認して携帯に見入っていると、お尻のあたりに何かが思いっきり当たった。

…結構痛い。


かぶさってくる影に、思わず眉間にしわを寄せて見上げる。