ビター・オア・ミルキー



少しだけ、朔ちゃんの目が見開いた。

眉毛が上って、わたしを映す瞳がかすかに揺らいだ。


…でも、すぐに元の笑顔に戻って。




「まじで?!良かったじゃん!!」




満面の笑みで、そう返してくれた。


「すげーな、もうゴールイン?まぁ、俺もそんな予想は立ててたけど、まさかこんなに早く付き合うことになるとは」

「朔ちゃん…」


よかった、何も言われなかった。

そうだよね、朔ちゃんはいつもそうだもん。
飛呂くんにだけ違うなんてことは、ないよね。

ただ、ここ最近、たまに朔ちゃんが変な時があったから、少し緊張してただけなんだ。


「ま、良かったじゃん。大切にしてもらえよ」

「うん…。朔ちゃんありがとう」

「…いえいえ」


ポンッと、わたしの頭に重なった手のひらが温かかった。


…朔ちゃんも、いつか大好きな人と結ばれますように。

好きな人と、うまくいきますように。

今度は、わたしが応援しなきゃいけない番だからね。