隣にかがんで、きれいな横顔を見つめた。
それに気づいた朔ちゃんは、そっとわたしの髪に触れる。
「…なに?」
「んーん。ほこり付いてた」
大きな手。いつからこんなに、お互いの目線が合わなくなったんだろう。
いつから、隣に座らないと同じ高さで話せなくなったんだろう…。
一緒にいすぎて、そんなことも分からなくなっちゃったね。
「君花、もう帰れ。あんまり暗くなると俺が心配になる」
「うん。分かった。じゃあ、また明日の朝にね」
「おー」
玄関まで見送ってくれて、朔ちゃんとはバイバイした。
「……はぁ…」
…例えば、わたしのことをものすごく好きになってくれた人がいたとしたら、きっとわたしは、朔ちゃんのことも好きになって欲しいと思うのだと思う。
朔ちゃんを嫌いという人は嫌いだ。
朔ちゃんとの関係を壊そうとする人も嫌いだ。
わたしまで、壊そうとしているのと同じだから。
こうやってわたしは、朔ちゃんに依存して、
甘い甘いミルクのような気持ちだけを知って、
生きているのだから。