「…飛呂、くん」
「なに?」
朔ちゃんより、優先出来る人……。
わたしが、初めて、朔ちゃんより優先したいって思った人。
「わたし…、今、飛呂くんと2人でいるよ……」
「は?」
朔ちゃん以外の男の人と、こうやって夕飯を食べるのは初めてだ。
彼氏がいたって、今まではずっと朔ちゃんと家まで帰ってた。
「…朔ちゃんより、優先してる、もん…」
「────…」
コツン、 と
飛呂くんのカカトを蹴りたくなった。
スパゲティを回していたフォークが、一瞬音を立てて倒れて。
飛呂くんの目が、わたしを捉える。
…飛呂くん。
どうして今日、わたしを誘ったの?
どうしてさっき、手をつないだの?
どうして、わたしといてくれるの?
「…っ、このタイミングで、んなこと言うな…っ」
聞きたいこと、たくさんあるけど。
でも、どれも聞けなくて。
だけど、微妙に伝わってくることもあるよ。
「…それ以上言うな。飯が食いきれない」
「どーいうこと?」
「いーからっ!黙って食え」
つま先を、コツンと、
飛呂くんが蹴った。



