帰りの先生の号令まで、飛呂くんとは一言も話さなかった。
ずっと高橋くんがつきまとっていたし、わたしもアニカとずっと一緒にいたから。
だけど、
「じゃ、今日はこれで終わりにします。明日も元気に出てこいよ~。号令!」
「きりーつ、礼!」
日直の号令に従って、『さようなら』と声が揃う。
がやがやと声が波紋を作り始めた時、肩をトンっとたたかれた。
「君花っ♩」
「…アニカ…!」
びっくりした。
ちょっとだけ、飛呂くんかと思ってしまった。
自惚れだなー、わたし。
「いよいよだね、頑張りなよ♡」
「うっ…、が、がんばる…」
「ふふふ。報告待って起きとくから!なんかあったら電話して!じゃーね♡」
ピン!と、可愛いウィンクをすると、アニカはわたしに背を向けた。
教室の入り口にいる高橋くんに話しかけている。
………あの二人は、どうなっているんだろう。
少し気になるなぁ。今度聞いちゃってもいいかな。
…いいよね。
わたしも、鞄に教科書を詰め込んだ。
「……」
ほんとに今日、二人でご飯、食べるのかな……。



