「…わたし、ね、昨日ずっと考えてたの。飛呂くんとご飯、行きたかったなって…。朔ちゃんと遊んだのも楽しかったけど、それでも、行きたかったなって…」
「……」
「…ごめんね、ずるいね、わたし」
「──…」
はぁ。だめだなあ。
朔ちゃんと頑張ろうって約束したから、素直に気持ち言ってみたけど。
全然、伝わらない。
自分が何をいいたいのかが分からない。
それでも、飛呂くんのことを考えてたのは本当だよ。
「…ひ、飛呂くん……」
ずっと、足下を見てた。
赤いシューズを見つめていた目を、飛呂くんに向けた。
「…。飛呂くん…?」
本で、顔を隠してる飛呂くん。
はぁ、と溜め息をついて。
開いた本の間を、ズズズとなぞっている。
「…あ、あの……」
「お前、な」
「……?」
このときの、飛呂くんの顔。
わたし、きっと一生忘れないよ。



