「…あの、昨日のことなんだけど…」
「昨日?」
本を再び開き出す飛呂くんの前に座った。
そんなわたしに少し驚いた顔をしていたけれど、すぐに飛呂くんは空気を取り戻して。
「…それで、昨日って?」
そしてそれにわたしはまた、ドキドキしてしまう。
「…あ、の…昨日、態度悪かったかなって…」
「は?態度?なにが?」
「昨日!せっかく飛呂くんがご飯に誘ってくれたのに…っ」
朔ちゃんのところに行ったことを口にすると、さすがに理解したのか、飛呂くんは「…あぁ」と納得したように頷いた。
じーっとわたしを見つめる目。
それが痛くて、甘くて、心が締め付けられる。
止まらない。溢れる気持ちが、止まらない。
「なんで謝んの?別に、無理して来ることねーし、幼なじみと約束あったんならそれでいーじゃん」
「……っ」
そうじゃない。
そうじゃないんだよ、飛呂くん。
どちらが良いとか、約束とか、そういうことじゃないんだ。
わたしが、わたしが行きたかったと思ってしまった。
飛呂くんの、ところに。



