でも、きこえたんだ。



杏菜ちゃんが俺の横を通った時に…



「奈津、友達ね…あたし達」



と。



時が止まったような感覚だ。



友達、ただそう言われただけなのにすごく嬉しい。



しかも…奈津って呼びすて…



やばい…頬が緩む。



緩んだ頬を隠すように手で覆う。



俺も…呼び捨てにしようかな…



「…あ.......あん…な………ちゃん。」



…無理だ。



本人がいないのにこれだ。



呼び捨てはやめよう…