「紘…。」



あたしは龍の事を思い出していたため弱ってしまっているみたいだ。



その証拠に紘を呼ぶ声が震えている。



「大丈夫だ。ここはフードかぶってろ」



そう言って前に進んだ。



「あっあれ佐伯じゃね?」



要がそう言う。



「ほんとだ。女連れてやがる!!」



「あの佐伯が女…か。拝んでやろうじゃねぇの!」



和の言葉であいつらが近づいてきた。



「よぉ佐伯。お前女に興味あったんだな?」



和が挑発的に言う。



「お前らにはかんけぇねぇだろ」



「そういうけどこの前同じことしてきたよな?」



「…ちっ」



「顔見せてくれよ。安心しろよ?俺ら正統派だから拉致ろうとか思わねぇから」



和がやけに挑発的だ。



なにかあったのだろうか。



というか顔を見せろだと?



無理に決まってる…目赤いし、あたしだとわかったらめんどうだし…



「誰が見せるかよ。どけ邪魔だ」



紘が無理やり通ろうとしたら流衣があたしのフードを掴んだ。



反動でフードが落ちてしまった。