「あれー?ここじゃん」
あたしの事をここと呼ぶのは1人だけ…
でもここにいるはずがない。
誰?
振り返ってみると佐伯紘がいた。
「ここってなに?」
「心のあだ名」
「そう呼ばないで。嫌いなの」
「そういわずにさ!なぁこれからショッピングセンター行くのか?」
「だったらなによ」
「俺も行く。一緒にまわろうぜ」
は?いい加減にして欲しい。
「あたしは蝶姫なの。あんたの敵」
「へぇ?やっぱり蝶姫なんだ?それに…」
「っひゃ...」
佐伯紘は急に肩を掴み耳元で囁いた。
「あんたじゃない、紘だ。そう呼べよ」
どくん…
「ひ、紘…」
いきなり耳元で囁かれて吃驚して、震える声でそう呼んだ。
「あぁ。それでいい」
そう言って微笑みあたしの頭を撫でた。
恥ずかしくてあたしは俯いていた。
「じゃ行くか!」
紘はそう言い手を引っ張った。
「ちょっ…」
なんから紘には逆らえない。
紘に引き込まれてしまう。