杏菜side



「あの…杏菜さんですよね?俺、春谷奈津っていいます。俺らでよければ友達になりたいんです。」



えっ…?



突然話しかけられたから吃驚した。



マネージャーさんはたまたまいないため私は今1人。



「どうして?」



いきなりの友達になりたいっていうのは危ないからやめとこう…



「私は一ノ瀬心っていいます。気づいてしまったんです。杏菜さんが笑顔をつくってることに。」



一瞬、時が止まったのかと思った。



どうして誰も気づかないのにこの子…心ちゃんが?



冷静にならないと。



「笑顔をつくってる?馬鹿言わないで頂戴。」



そう言うと隣にいた男の子が



「俺、寂しそうに笑う杏菜ちゃんをほっとけないんだ。…初めて会ったはずなのに」



どくん…



「つ、通報するわよ?」



「したきゃすればいい。これ連絡先。気が変わったらメールして。じゃあ…いきなりごめんな」



そう言って帰って行った。



もらったメモに目を通す。