そっと、まるでとても繊細なものを扱うかのようにベッドの上に降ろされた。一連の動きに胸が高鳴って、自分のベッドなはずなのにそうではないものに見えてしまう。

「…凛玖、くん?」

 理真の声に岡田は顔を上げて、優しく微笑む。理真の隣に座ると、そのままゆっくりと理真を押し倒した。

「…りっ、凛玖…」
「…お昼寝、しましょう?」
「う、うん。」
「あ、今、違うこと考えました?理真さんがいいなら、僕はいつでも準備できてますけど。」
「かっ、考えてないよっ!」
「あはは、理真さん、顔真っ赤です。」

 岡田は理真と向かい合う形で横になるとそのままゆっくりと理真を抱き寄せた。

「理真さん、柔らかくて気持ちいいです。」
「凛玖くんの腕あったかい…。」

 理真の後頭部に回った手が理真の頭を優しく撫でる。そんな風に撫でられると自分が子どもになってしまったような気分になる。

「ふふ」
「どうしました?」
「子どもみたいだなぁって。あ、私がね?頭撫でられて抱き締められて安心して…。」

 岡田がゆっくりと腕の力を緩める。優しく微笑んでその顔をそのままぐっと理真の顔に近付ける。
 鼻と鼻が触れ合って吐息が混ざり合う。そんな甘過ぎる空気は、シュガートーストの甘さに勝ってしまうだろう。

「…キス、したいです。お昼寝の前にいいですか?」
「この距離でダメって、言えないよ。」
「それもそう、ですね。」

 ふっと触れた唇が離れたがらない。いつまででもくっついていたいと思う。そんな理真の気持ちを察してなのか、それとも岡田もそう思ってくれているからなのか、何度も角度を変えては交わる唇は深さを増していくばかりだ。

「凛玖っ…くんっ…。んっ…。」

 唇がもう一度塞がれ、甘い水音を立てて離れる。岡田の手が理真の手を取り、岡田は指にそっと唇をあてた。

「凛玖くん!?」
「綺麗な指だなって、ずっと思ってたんです。綺麗な指で美味しそうにパンを食べる可愛いお客さん。それが今は僕のこんなに近くにいるなんてすごく不思議で、でも、すごく嬉しいです。」

 もう一度唇をつけ、甘いキスを手に残す。小さく身をよじると、それに気付いた岡田は笑う。