絶句だ。

 なんてことだ。
 せっかく弱みを握ったと思ったのに……!

 ひとしきり笑ったアカツキが、目に浮かんだ涙を拭いながら私を見上げた。

 ぎくりと身体がこわばる。


「――で、どうしてほしいって?」


 王子の満面の笑みに、背筋がぞっとする。

「あ、う、わ」

 声にならない声を出していると、アカツキがぽつりと言った。


「知紗、イチゴミルクが飲みたいんだけど?」


「は、はいぃぃ!」


 王子の微笑みに、私は全力で中庭の自動販売機に走ったのだった。




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