「そうなんだよ、トワって口が悪いのにさりげなく優しかったりするから、本気で好きになる女子が多いんだよなぁ。しかも本人が無自覚っていう……この天然たらしめ」

「知るかよ! ぽんぽんすんじゃねーくそダイチ!」

「うんわかる。セイも口悪いけど、相手を傷つけたまま放置するセイと違って、トワくんはフォロー入れてくれるもんね」

 じっと見つめると、トワくんが急に真っ赤になった。

「う、うっせえな! 行こうぜレオ!」

「……俺の教室ここだから」

 すたすたと6組の教室に入っていく高槻くんの背中を唖然とした顔で見送ったあと、トワくんは怒ったように8組のほうへ歩いていった。

「気にしないでね知紗ちゃん。トワのやつ、照れてるだけだから」

「うん、わかる」

 トワくんは、反応がいちいち大きくて見ていて飽きない。

 みんながしょっちゅう彼をからかって遊ぼうとする気持ちが、よくわかった気がした。