高級腕時計をもらったのって、もしかして高槻くんだったのかな。
「あ、でもセイだけは受け取るんでしょ? プレゼントとか」
「ああ、あいつは大病院のお坊ちゃんだからね。安かろうが高かろうが、物をもらうことに抵抗がないんだよ」
「庶民の俺らとは感覚がちげーよな」
ダイチくんとトワくんの言葉を頭の中で繰り返して、私はしばらく固まった。
セイが大病院のお坊ちゃん!?
「じゃあ、セイっていずれは医学部に進むの?」
「いやーあいつの成績じゃ無理だろー」
「こらトワ、そんなこと言ったらセイのやつが拗ねるだろ」
声を立てて笑うトワくんを肘で小突き、ダイチくんは私に目を移す。
「セイは三人兄弟の末っ子だから病院を継がなくてもいいんだよ」
「そうなんだ……」
大病院の三男坊。よく分からないけど、とにかくお金持ちなんだということは分かった。
だからあんなにワガママなのか。


