キミが泣くまで、そばにいる





 連れてこられたのは人目につかない非常階段の前。

 逃げ道を塞ぐように立っている彼女たちには、見覚えがあった。
 同じ1年生で、いつもイケメントップ5にくっついて回っている取り巻きの子たちだ。

 背筋がすうっと冷えていく。

 漫画とかドラマで見るのと同じだった。

 ひと気のない場所に呼び出され、ひとり対数人で向き合う構図。
 はりつめた空気。
 学校のアイドル男子に近づいた女の子が受ける、取り巻きたちからの制裁。

 なんて間が悪いんだ! と叫びたくなった。

 呼び出しとかリンチとか、覚悟してたつもりだったけど、まさか、このタイミングでなんて……。
 あと1日待ってくれたら、私はあの5人とは今後一切関わらなかったのに!

 複数の目に値踏みするように観察される。と、アイメイクばっちりでひときわ迫力のある女子が、ずいっと身を乗り出した。

「真辺さんさぁ」