キミが泣くまで、そばにいる



 背中を向けて息を潜めていると、彼らの笑い声が背後を通過していく。

 芸能人みたいなオーラを振りまきながら遠ざかっていく、美女とアカツキ。

「撮れた……」

 ふたりの背中を見送りながら、スマホを持つ手が震えた。

 年上の美人と抱き合ったあとで、別の美女と腕を組んでいた微笑み王子。

 これは間違いなく二股でしょ!

「やっっった!」

 アカツキの弱みを、とうとう手に入れた!

 静かにガッツポーズを決めていたら、後ろに並んだバス待ちのおじさんが不審そうに眉をひそめた。