キミが泣くまで、そばにいる



「うーんダメだなぁ。もっと何か、決定的な証拠じゃないと弱みにならない」

 ドラマなんかでよく見かける男の人の弱みといえば、そう、浮気現場とか……。

「やっぱり、そう都合よく弱みなんて握れないかぁ」

 半分諦めながら、私は視界の微笑み王子に意識を戻す。

 彼女が帰ってしまったのに、アカツキはそこを動こうとしなかった。

 何してるんだろうと見ていると。

「え……」

 駅前を歩いてきた女の子が、アカツキに声をかけた。

 近くの名門女子校の制服を着て穏やかに笑う彼女は、さっきの女の人と負けず劣らずの美人だった。

 彼女を見て、アカツキの表情も優しく崩れる。

「え、え、嘘」

 あわててカメラを構える。

 さっきの今で、別の女の子と……?

 いや、でも、ただ声をかけられただけかもしれない。学校帰りに告白されてたセイみたいに。

 そう思いつつも念のためズームにして写真に収める。

 思わず画面に見入ってしまった。