キミが泣くまで、そばにいる



「つか、お前カレー食い過ぎじゃね? 今日の昼も食ってなかったっけ。絶対味覚おかしくなってるだろ」

「いやいや」と笑いながら、アカツキは私を見下ろす。

「知紗、そこ、ちょっと詰めて」

「あ、うん」

 私が奥にずれると、アカツキがとなりに座った。
 香水らしき爽やかな匂いがほんの一瞬鼻先をかすめる。

 そんなに広くないソファ席で、すぐ横に座った大きな身体に、左半身が急に緊張した。

 アカツキは細いくせに先生よりも背が高い。先生がとなりにいるときはすごく安心するのに、アカツキが同じ距離にいると、なぜか全身がぴりぴりして落ち着かない。

「ていうか、ちいのすけってやっぱ呼びづれー。チーコでいっか」

「はいはい、なんでも好きなように呼んでください」

 トワくんに適当に答えて、オレンジジュースのストローに口をつけた瞬間だった。

「で、チーコ。ヒモパン穿いてるんだって?」

「ごふっ」

 カップのなかで、ジュースが泡を吹く。
 口を拭いながら、私はトワくんを凝視した。