キミが泣くまで、そばにいる



「できれば普通に呼んでほしいでござる……」

 ぎゃははと八重歯を覗かせて、トワくんが笑う。

 ほかの4人と比べるとずいぶん小柄だけど、そのぶん圧迫感がないせいか話しやすい。彼が初対面の人ともあっというまに打ち解けてしまう性格だからかもしれない。

「あれ、ダイチくんは?」

 私はあたりを見回した。

 左のテーブルにはだらしなくソファ席にもたれた金髪セイと、その正面でぼうっと教科書をめくってる高槻くん。

 右のテーブルはハンバーガーにかぶりついているトワくんの姿があるだけで、ジャイアント紳士の姿がない。

「あいつは部活。俺たちと違って爽やかスポーツマンだからなー」

 トワくんがもぐもぐと口を動かしながら答える。その正面の空いた席に、私は腰を下ろした。

「くそ、なんでだよ」

 ソファにもたれながらセイがいきなりつぶやいて、私はびくりとする。

 見ると彼はスマホに対して毒づいていた。