キミが泣くまで、そばにいる





「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりですか?」

 店員のお姉さんがカウンターの向こうから超絶スマイルでアカツキに笑いかける。

「えっとカレーバーガーセット。飲み物はアイスコーヒーで。知紗は?」

「私は、えーと、オレンジジュースとアップルパイ」

 私からお金を受け取ると微笑み王子は「先、席行ってて」と店の奥を指さした。


 その場を離れながら、レジにいるお姉さんをちらっと見やる。

 高校生なんか相手にしなさそうな大人の女の人でも、やっぱりかっこいいお客が来ると嬉しいらしい。

 その証拠に、店員のお姉さんのみならずうちの母親の年齢に近そうなおばさんまでがカウンターの向こうからチラチラと視線をよこしてる。
 アカツキ及び、奥のテーブルを陣取るわが校きってのイケメンたちに対して。

 彼らの定位置は、通路のいちばん奥、となりあったテーブル2席だ。


「よお、ちい之助、遅かったなー」

「ちいのすけって何? トワくん」

「いやみんな好きなように呼んでっからさー。俺もオリジナリティを出そうかと思って」