先生を好きだなんて言う、恋に恋する女の子。
そんなふうに思われてることが、腹立たしい。
「泣かないよ……私は」
禁断だとか、背徳感だとか、そんなのが欲しくて先生を想ってるんじゃない。
周囲に引き裂かれる、悲劇の恋なんて、そんなもの、求めていない。
「私は、泣かない」
ふたりの関係は、壊されたりしない。
別れることになんてならない。
アカツキに感づかれたのは失敗だったけど、でもこれ以上は誰にも気づかせない。
先生との関係は、絶対に守り抜く。
強く睨みつけると、アカツキは面食らったようにまばたきをした。
形のいい唇から吐息が落ちる。
「あ、そ」
それから微笑み王子は、ふっと表情を崩した。
「じゃ、行こっか」


