自分で言った言葉なのに、静まり返った校舎内でアカツキの口からこぼれると、絶望的な響きに聞こえるのはなぜだろう。
先生と、生徒。
心を通わせてはいけない関係。
もし誰かに知られたら。もし噂になったら。
きっと先生はこの学校にいられなくなる。
そんなことは全部わかった上で、先生は私と約束してくれたのだ。
――そしたら私と、付き合ってくれる?
――……わかった。いいよ。
――ほんと? 約束だよ?
「本気ならなおさら、やめたほうがいい」
繰り返されたセリフに、喉がかすれる。
「なんで……」
なんでアカツキが、そんなことを言うの。
「泣くことになるよ」
まっすぐな瞳だった。
アカツキは笑っても、怒ってもいない。
冷たくも温かくもない、何も語らない瞳に、一瞬息ができなくなる。
あわれまれてる。
そう思った。
アカツキは、私を、憐れんでいる。
かわいそうな子だと思っている。


