キミが泣くまで、そばにいる



「なに……それ。どういう意味?」

「いるんだよね、そういう子。背徳感とか優越感とか? そういうのを味わいたくて、モテなさそうな若い教師を誘惑してさ」

 くすっと笑って、微笑み王子は嘲るように私を見る。

「センセーも気の毒だよ。教職員っていってもやっぱ男だし。女子高生に言い寄られたらグラっとくる奴もいるんだな」

 アカツキの言っていることがよくわからない。

 優越感? 誘惑?

「取り巻きの中にもいるよ、そういう子。教師をからかって悪女きどってる、残念な子が」

「な……なにそれ」

「そういや1コ上の先輩でもいたらしいよ。先生と付き合ってバレて、周囲に引き裂かれて、『悲恋』なんて言って自己陶酔してる人が」

 何かの演説みたいにぺらぺらしゃべり、アカツキは肩をすくめる。

「知紗はそういうふうには見えなかったんだけど……意外だなぁ」

 蔑むような視線に、腹の底が沸騰した。