キミが泣くまで、そばにいる




「アカツキ、笑ってても、笑ってないもん」

 泣きたいのは私じゃないのに、胸がつぶれたみたいに痛む。

 喉の奥がきりきり締めつけられて、息が吸えない。

「ずっと、嘘の顔ばっかり」

 私に素の顔を見せてたっていうなら、なんで今、笑ってるの?

「あたりまえだよね。笑えるわけ、ないもん」

 声が、水分を含んで重くなる。

 胸にもやもやと渦巻いていたものを、強引に掴んで、切り裂く。


「大切な人を失って、笑えるわけないじゃんバカ!」


 狭い空間に声が跳ね返った。
 肩が上下して、息が切れる。

 足元に、ぽたぽたと水滴が落ちた。

 ふと伸ばされた手に、びくっと震える。