「知紗、何を――」
「なんで、笑うの」
声がかすれた。
息を吸うと肺が震える。それでも、私は訴えかける。
「泣けば、いいのに」
固まっていたアカツキが、ため息をついた。
「泣かないよ」
疲れたように首を振る。
私は引かなかった。
「泣きなよ」
「泣いたって、しょうがない」
「うそ、ずっと泣きたかったくせに!」
アカツキの顔に、さっと険が走った。
「うるさいよ知紗!」
しんと、空気が静まる。
怒鳴ってしまった自分に驚いたように、彼は目を丸め、がりがりと頭を掻いた。それ自体、とても珍しい仕草だ。
「頼むから、放っといてくれよ」


