私の前に、小柄な男子生徒が割って入った。
「放課後は俺らのプライベート・タイムだから、悪ぃけど遠慮して」
面倒そうにしゃべるトワくんを見て、彼女たちは表情を輝かせる。
ネイルの子が肩をくねらせ、上目遣いで彼を見た。
「でもトワ~、その子は一緒に行くんでしょ? おかしくなーい?」
「あの、私は」
肩を引き寄せられ、言葉が途切れた。間近に声が落ちる。
「チーコは俺らの仲間だから」
トワくんの手のあったかさと言葉が、胸にじわっと広がる。
「ほれ、行くぞ、チーコ」
手首を掴まれ、そのまま廊下を歩きだした。
人をかきわけるようにずんずん進みながら、私は前を行く背中を見る。アカツキやダイチくんよりも、ずいぶん狭い。それなのに、ものすごく頼もしい。
やはり私の目に狂いはなかった。
一番小柄だけど、彼ら5人の中で最も男らしいのは、きっとトワくんだろうと思っていたのだ。
「トワくん、かっこよすぎだから!」


