「いつも、そんなこと聞かずにくっついてくるじゃん」
「えー、だって女子がいたほうが華やかで楽しいってセイも言ってたしぃ」
「はは。でもごめん。今日はお願いされちゃったから、俺は知紗とふたりで」
「え、いいよ、全然。みんなで食べよ。レミも一緒だし」
あわてて口を挟むと、取り巻き女子たちは「じゃ、いつもの中庭ベンチだね」とそれぞれお財布やお弁当の準備をはじめる。
アカツキだけ、固まった笑顔で私を見ていた。
「……あれ。ふたりでじゃ、ないんだ?」
「うん。え、どうかした?」
笑みを作ったアカツキの頬が、ぴくぴく痙攣している。
「いや、べつに……」
そう言うと、ため息をついて椅子を立つ。それから彼は「購買行ってくる」とドアを出て行った。
「……ちーちゃん、おもしろすぎる」
私の背後で、レミが細い肩を震わせ、笑いを堪えていた。


