キミが泣くまで、そばにいる




 チャイムが鳴り、試験監督の先生が答案を回収してドアを出て行くと、わっと教室の空気が緩んだ。

「あー初日の午前が終わったぁ。ちーちゃん、今の科目どうだった?」

「レミ、ちょっと来て」

 細い腕を掴んで、私は窓側の席に走り寄った。

「ちーちゃん?」

 レミの声を背後に聞きながら、女子たちが群がっている賑やかな席にたどりつく。その中心にいた微笑み王子が、私を見つけて薄く笑った。

「あれ、知紗。どうかした?」

「アカツキ。今日、お昼一緒に食べてもいい?」

 彼は大きな目をぱちくりさせ、ほんの一瞬、素の顔を見せた。

 私が、命令されてもいないのに一緒に食べようなんて言ったから、驚いたらしい。

 でも次の瞬間には、口角を上げ、嬉しそうに微笑む。

「いいよ」

「え、アカツキ、うちらも一緒に食べていい!?」

 すかさず口を開く取り巻きたちに、彼は苦笑いを見せる。