キミが泣くまで、そばにいる



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 期末テスト初日、梅雨の晴れ間で、窓の外には久しぶりの青空が広がっている。

 時計の針と、クラスメイトが走らせるシャーペンと、薄っぺらい問題用紙が、しんとした空間でそれぞれ音を立てる。

 テスト自体は大嫌いだけど、緊張感が漂うこの時間はそんなに嫌いじゃない。

 普段教室でふざけてばかりいる男子も、休み時間にキンキン声でおしゃべりをしている派手系女子も、この空間に放り込まれたとたん、貝みたいに黙り込んで、目の前の答案用紙に真剣な目を向ける。

 さすが進学校だ。

 今、この瞬間、教室で高まっているみんなの集中力を一点に集めたら、強力なエネルギー砲を撃てるんじゃないかな。

 なんて考えている私は、早い段階から化学のテストを諦めていた。

 選択問題だけ適当に埋めて、ぼんやりみんなの背中を眺めている。