「あっくんが素の顔を見せてるこの子は何者だろうって、あのとき、すごいガン見しちゃって。ごめんね」
「や、そんな」
「知紗ちゃんは、あっくんの彼女なの?」
突然の問いかけに、紅茶を吹きそうになった。
「ち、違います! 私は、アカツキの……ええと、忠犬って、周りからは言われてますけど」
「忠犬?」
朱里さんが目を丸めた。
「ええと、いろいろ用事を頼まれるっていうか。あ、でもアカツキに勉強を教えてもらってるから、お互いさまっていうか……」
こんなことアカツキのお姉さんに話していいのかな、と肩を縮めていると、彼女がちいさく吹き出した。
「あはは、忠犬」
「そ、そうなんですよー。忠犬はじめてもう3ヶ月くらい経つかな。だから彼女なんてとんでもないっていうか」
「いいじゃない、忠犬」
「え?」
何がそんなに面白いのか、目に涙を浮かべ、朱里さんはにっこり微笑む。


