「え、え、大丈夫?」

「平気。しばらく座ってれば、すぐ治る」

 そう言って目を閉じてしまう。

 ダイチくんが駆け寄ってきてアカツキの顔を覗き込んだ。

「アカツキ、また貧血か?」

 その後ろでトワくんがため息をつく。

「まったく、カレーばっか食ってっからだぞ」


 え、何? 何が起きてるの。

 心臓がバクバク鳴ってる。

 どうすることもできなくて、ベンチで前のめりになっているアカツキをただ見つめる。と、ダイチくんが立ち上がった。

「帰ったほうがよさそうだな。セイ、タクシー呼んで。俺が送る」

「いいよ」

 ぱっと目を開けて、アカツキがダイチくんを押し戻した。

「ほんとに、平気だから」

「無理するなよ。顔色ひどいし」

「あの、私、朱里さんに連絡」

 スマホを出したとたん、手首を掴まれた。