アカツキの指を放れたボールは、レーン上で緩くカーブし、ピンにぶつかった。

 並んでいた十本のピンがすべて倒れ、スコア画面が派手に明滅する。

 ダイチくんがガッツポーズをし、トワくんが天を仰いだ。

「よっしゃ、優勝アカツキ!」

「ぐああ、負けかぁ!」

 ダイチくんのハイタッチに応え、アカツキはほっとした顔で戻ってくる。

「俺の勝ちだね、知紗」

「むうう悔しい……!」

 得意満面で見下ろされ、私は腹立ちまぎれに指を突き出した。

「今度やるときは絶対に――」

 言いかけたとき、目の前で細い身体がよろめいた。

「えっ」

 倒れそうになったアカツキを、とっさに支える。

「アカツキ?」

「ごめん。ちょっとめまい」

 口元に引きつった笑みを浮かべ、王子はそのままベンチに座り込んだ。

 顔が真っ青だ。